万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景


04-0593 君に恋ひ いたもすべなみ 奈良山の 小松が下に 立ち嘆くかも 笠女郎 松下に佇む女性




写真:奈良公園、松下に佇む女性
Feb. 15 2009
Manual_Focus Lens28-70mm, Format35mm
RVP100

笠女郎が、大伴家持に送った恋歌。「貴方が恋しくてどうしようもなく、奈良山の小松の下に立って嘆くことです。」という意味。「笠女郎、大伴宿禰家持に贈る歌24首」と題詞がある。

万葉集に、笠女郎の歌は、29首採録されて、特に巻4に「笠女郎、大伴宿禰家持に贈る歌24首」と題詞のある歌群が有名です。これらの歌は、それなりの期間二人の関係が続いていたことを示していますが、相聞歌であるのにかかわらず、笠女郎からの歌ばかりで、家持の歌は、笠女郎が恋を諦めて故郷に帰ってから詠んだ最後の歌に返した2首だけです。
24首全体を貫くのは、笠女郎の家持に対する一方的な思いで、特に後半はその調子が強くなっています。おそらくは数度の逢瀬の後、家持の心が醒めて、笠女郎の片思いの時期が長くなってしまったようです。笠女郎が家持の隠し妻であったとする説や、万葉詩人の笠金村の娘であったという説など諸説がありますが、詳しいことはよく分かりません。
この歌は、その24首中7首目にあたり、いよいよ悲恋の調子が高まりつつあった頃のもので、万葉集中でも出色の秀歌とされています。家持の家は奈良山の麓の佐保にあったので、女郎は家持の家を見下ろす山上に佇んで、この歌を詠ったのでしょう。
(記: 2009年3月1日)

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万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁アップ: 2009/2/28 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

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