万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景

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挽歌

万葉集の大きな特徴のひとつに、死者に手向ける"挽歌"の存在があります。仏教の影響がまだ大きくなかった時代にあって、死者を弔うために"和歌"を詠むという習慣がこの時代にあったのかもしれません。

作者 亡くなった人 写真
02-0141 磐白の 浜松が枝を 引き結び ま幸くあらば また帰り見む 有間皇子 自ら悼む UP
02-0142 家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る 有間皇子 自ら悼む UP
02-0148 青旗の 木幡の上を 通ふとは 目には見れども 直に逢はぬかも 倭姫王 天智天皇
02-0155 やすみしし 我ご大君の 畏きや 御陵仕ふる 山科の 鏡の山に 夜はも 夜のことごと 昼はも 日のことごと 哭のみを 泣きつつありてや ももしきの 大宮人は 行き別れなむ 額田王 天智天皇 UP
02-0158 山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく 高市皇子 十市皇女 UP
02-0165 うつそみの 人にある我れや 明日よりは 二上山(ふたかみやま)を 弟背(いろせ)と我が見む 大伯皇女 大津皇子 UP
02-0166 磯の上に 生ふる馬酔木(あせび)を 手(た)折らめど 見すべき君が 在りと言はなくに 大伯皇女 大津皇子 UP
02-0169 あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隠(かく)らく惜(を)しも 柿本人麻呂 草壁皇子 UP
02-0175 夢にだに 見ずありしものを おほほしく 宮出もするか さ桧の隈廻を 草壁皇子の宮の舎人 草壁皇子 UP
02-0199 かけまくも ゆゆしきかも 言はまくも あやに畏き 明日香の 真神の原に ひさかたの 天つ御門を 畏くも 定めたまひて 神さぶと 磐隠ります やすみしし 我が大君の きこしめす 背面(そとも)の国の 真木立つ 不破山超えて 高麗剣 和射見が原の 仮宮に 天降りいまして 天の下 治めたまひ 食(を)す国を 定めたまふと 鶏が鳴く 東の国の 御いくさを 召したまひて ちはやぶる 人を和せと 奉ろはぬ 国を治めと 皇子ながら 任したまへば 大御身に 大刀取り佩かし 大御手に 弓取り持たし 御軍士を 率ひたまひ 整ふる 鼓の音は 雷の 声と聞くまで 吹き鳴せる 小角の音も 敵見たる 虎か吼ゆると 諸人の おびゆるまでに ささげたる 幡の靡きは 冬こもり 春さり来れば 野ごとに つきてある火の 風の共 靡くがごとく 取り持てる 弓弭の騒き み雪降る 冬の林に つむじかも い巻き渡ると 思ふまで 聞きの畏く 引き放つ 矢の繁けく 大雪の 乱れて来れ まつろはず 立ち向ひしも 露霜の 消なば消ぬべく 行く鳥の 争ふはしに 渡会の 斎きの宮ゆ 神風に い吹き惑はし 天雲を 日の目も見せず 常闇に 覆ひ賜ひて 定めてし 瑞穂の国を 神ながら 太敷きまして やすみしし 我が大君の 天の下 申したまへば 万代に しかしもあらむと 木綿花の 栄ゆる時に 我が大君 皇子の御門を 神宮に 装ひまつりて 使はしし 御門の人も 白栲の 麻衣着て 埴安の 御門の原に あかねさす 日のことごと 獣じもの い匍ひ伏しつつ ぬばたまの 夕になれば 大殿を 振り放け見つつ 鶉なす い匍ひ廻り 侍へど 侍ひえねば 春鳥の さまよひぬれば 嘆きも いまだ過ぎぬに 思ひも いまだ尽きねば 言さへく 百済の原ゆ 神葬り 葬りいまして あさもよし 城上の宮を 常宮と 高く奉りて 神ながら 鎮まりましぬ しかれども 我が大君の 万代と 思ほしめして 作らしし 香具山の宮 万代に 過ぎむと思へや 天のごと 振り放け見つつ 玉たすき 懸けて偲はむ 畏かれども 柿本人麻呂 高市皇子 UP
02-0201 ひさかたの 天知らしぬる 君故に 日月も知らず 恋ひわたるかも 柿本人麻呂 高市皇子
02-0201 埴安(はにやす)の 池の堤(つつみ)の 隠り沼(こもりぬ)の ゆくへを知らに 舎人は惑ふ 柿本人麻呂 高市皇子 UP
02-0202 哭沢(なきさわ)の 神社(もり)に三輪(みわ)据ゑ 祈れども 我が大君は 高日知らしぬ 檜隈女王 高市皇子 UP
02-0203 降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養の岡の 塞なさまくに 穂積皇子 但馬皇女
02-0207 天飛ぶや 軽の道は 我妹子が 里にしあれば ねもころに 見まく欲しけど やまず行かば 人目を多み 数多く行かば 人知りぬべみ さね葛 後も逢はむと 大船の 思ひ頼みて 玉かぎる 岩垣淵の 隠りのみ 恋ひつつあるに 渡る日の 暮れぬるがごと 照る月の 雲隠るごと 沖つ藻の 靡きし妹は 黄葉の 過ぎて去にきと 玉梓の 使の言へば 梓弓 音に聞きて 言はむすべ 為むすべ知らに 音のみを 聞きてありえねば 我が恋ふる 千重の一重も 慰もる 心もありやと 我妹子が やまず出で見し 軽の市に 我が立ち聞けば 玉たすき 畝傍の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず 玉桙の 道行く人も ひとりだに 似てし行かねば すべをなみ妹が名呼びて 袖ぞ振りつる 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻
02-0208 秋山の 黄葉を茂み 惑ひぬる 妹を求めむ 山道知らずも 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻 UP
02-0209 黄葉の 散りゆくなへに 玉梓の 使を見れば 逢ひし日思ほゆ 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻
02-0210 うつせみと 思ひし時に 取り持ちて 我がふたり見し 走出の 堤に立てる 槻の木の こちごちの枝の 春の葉の 茂きがごとく 思へりし 妹にはあれど 頼めりし 子らにはあれど 世間を 背きしえねば かぎるひの 燃ゆる荒野に 白栲の 天領巾隠り 鳥じもの 朝立ちいまして 入日なす 隠りにしかば 我妹子が 形見に置ける みどり子の 乞ひ泣くごとに 取り与ふ 物しなければ 男じもの 脇ばさみ持ち 我妹子と ふたり我が寝し 枕付く 妻屋のうちに 昼はも うらさび暮らし 夜はも 息づき明かし 嘆けども 為むすべ知らに 恋ふれども 逢ふよしをなみ 大鳥の 羽がひの山に 我が恋ふる 妹はいますと 人の言へば 岩根さくみて なづみ来し よけくもぞなき うつせみと 思ひし妹が 玉かぎる ほのかにだにも 見えなく思へば 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻
02-0211 去年見てし 秋の月夜は 照らせれど 相見し妹は いや年離る 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻
02-0212 衾道を 引手の山に 妹を置きて 山道を行けば 生けりともなし 柿本人麻呂 柿本人麻呂の妻
02-0220 玉藻よし 讃岐の国は 国からか 見れども飽かぬ 神からか ここだ貴き 天地 日月とともに 足り行かむ 神の御面と 継ぎ来る 那珂の港ゆ 船浮けて 我が漕ぎ来れば 時つ風 雲居に吹くに 沖見れば とゐ波立ち 辺見れば 白波騒く 鯨魚取り 海を畏み 行く船の 梶引き折りて をちこちの 島は多けど 名ぐはし 狭岑の島の 荒磯面に 廬りて見れば 波の音の 繁き浜辺を 敷栲の 枕になして 荒床に ころ臥す君が 家知らば 行きても告げむ 妻知らば 来も問はましを 玉桙の 道だに知らず おほほしく 待ちか恋ふらむ はしき妻らは 柿本人麻呂 石の中に死まかる人
02-0221 妻もあらば 摘みて食げまし 沙弥の山 野の上のうはぎ 過ぎにけらずや 柿本人麻呂 石の中に死まかる人
02-0222 沖つ波 来寄る荒礒(ありそ)を 敷栲(しきたへ)の 枕とまきて 寝せる君かも 柿本人麻呂 石の中に死まかる人
02-0223 鴨山の 岩根しまける 我れをかも 知らにと妹が 待ちつつあるらむ 柿本人麻呂 自ら悼む
02-0224 今日今日と 我が待つ君は 石川の峽に 交りて ありといはずやも 依羅娘子 柿本人麻呂
02-0225 直の逢ひは 逢ひかつましじ 石川に 雲立ち渡れ 見つつ偲はむ 依羅娘子 柿本人麻呂
02-0226 荒波に 寄り来る玉を 枕に置き 我れここにありと 誰れか告げなむ 丹比眞人 柿本人麻呂
02-0228 妹が名は 千代に流れむ 姫島の 小松がうれに 蘿(こけ)むすまでに 河邊宮人 嬢子の屍 UP
02-0229 難波潟 潮干なありそね 沈みにし 妹が姿を 見まく苦しも 河邊宮人 嬢子の屍 UP
02-0230 梓弓 手に取り持ちて ますらをの さつ矢手挟み 立ち向ふ 高円山に 春野焼く 野火と見るまで 燃ゆる火を 何かと問へば 玉鉾の 道来る人の 泣く涙 こさめに降れば 白栲の 衣ひづちて 立ち留まり 我れに語らく なにしかも もとなとぶらふ 聞けば 哭のみし泣かゆ 語れば 心ぞ痛き 天皇の 神の御子の いでましの 手火の光りぞ ここだ照りたる 笠金村 志貴皇子
02-0231 高円の 野辺の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人なしに 笠金村 志貴皇子 UP
02-0232 御笠山 野辺行く道は こきだくも 繁く荒れたるか 久にあらなくに 笠金村 志貴皇子
03-0416 百(もも)伝ふ 磐余(いわれ)の池に鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠りなむ 大津皇子 自らを悼む UP
03-0426 草枕 旅の宿りに 誰が嬬か 国忘れたる 家待たまくに 柿本人麻呂 香具山で行き倒れた屍 UP
03-0443 天雲の 向伏す国の ますらをと 言はれし人は 天皇の 神の御門に 外の重に 立ち侍ひ 内の重に 仕へ奉りて 玉葛 いや遠長く 祖の名も 継ぎ行くものと 母父に 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より たらちねの 母の命は 斎瓮を 前に据ゑ置きて 片手には 木綿取り持ち 片手には 和栲奉り 平けく ま幸くいませと 天地の 神を祈ひ祷み いかにあらむ 年月日にか つつじ花 にほへる君が にほ鳥の なづさひ来むと 立ちて居て 待ちけむ人は 大君の 命畏み おしてる 難波の国に あらたまの 年経るまでに 白栲の 衣も干さず 朝夕に ありつる君は いかさまに 思ひませか うつせみの 惜しきこの世を 露霜の 置きて去にけむ 時にあらずして
大伴三中 丈部竜麻呂
07-1414 薦枕(こもまくら) 相枕(あいま)きし 子もあらばこそ 夜の更くらくも 我が惜しみせめ 作者不詳 -
08-1472 霍公鳥(ほととぎす) 来鳴き響(とよ)もす 卯の花の 伴にや来しと 問はましものを 石上堅魚 大伴郎女 UP
09-1675 藤白の 御坂を越ゆと 白栲の 我が衣手は 濡れにけるかも 作者不詳 有間皇子 UP
13-3330
隠口の 泊瀬の川の 上つ瀬に 鵜を八つ潜け 下つ瀬に 鵜を八つ潜け 上つ瀬の 鮎を食はしめ 下つ瀬の 鮎を食はしめ くはし妹に 鮎を取らむと くはし妹に 鮎を取らむと 投ぐるさの 遠ざかり居て 思ふそら 安けなくに 嘆くそら 安けなくに 衣こそば それ破れぬれば 継ぎつつも またも合ふといへ 玉こそば 緒の絶えぬれば くくりつつ またも合ふといへ またも逢はぬものは 妻にしありけり 作者不詳
13-3331
隠口の 泊瀬の山 青旗の 忍坂の山は 走出の よろしき山の 出立の くはしき山ぞ あたらしき 山の 荒れまく惜しも 作者不詳 UP
13-3332 高山と 海こそば 山ながら かくも現(うつく)しく 海ながら しかまことならめ 人は花ものぞ うつせみ世人 作者不詳
16-3874 射ゆ鹿を 認ぐ川辺の にこ草の 身の若かへに さ寝し子らはも 山上憶良 白水郎荒雄
17-3957 天離る 鄙治めにと 大君の 任けのまにまに 出でて来し 我れを送ると あをによし 奈良山過ぎて 泉川 清き河原に 馬留め 別れし時に ま幸くて 我れ帰り来む 平らけく 斎ひて待てと 語らひて 来し日の極み 玉桙の 道をた遠み 山川の 隔りてあれば 恋しけく 日長きものを 見まく欲り 思ふ間に 玉梓の 使の来れば 嬉しみと 我が待ち問ふに およづれの たはこととかも はしきよし 汝弟の命 なにしかも 時しはあらむを はだすすき 穂に出づる秋の 萩の花 にほへる宿を 朝庭に 出で立ち平し 夕庭に 踏み平げず 佐保の内の 里を行き過ぎ あしひきの 山の木末に 白雲に 立ちたなびくと 我れに告げつる 大伴家持 大伴書持
17-3958 ま幸くと 言ひてしものを 白雲に 立ちたなびくと 聞けば悲しも 大伴家持 大伴書持
17-3959 かからむと かねて知りせば 越の海の 荒礒の波も 見せましものを 大伴家持 大伴書持

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万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁更新: 2012/5/27 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

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