万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景


02-0211 去年見てし 秋の月夜は 照らせれど 相見し妹は いや年離る 柿本人麻呂 天理衾田




写真: 神杉と満月、大神神社の観月祭
Sep. 14 2008
Manual_Focus Lens150mm, Format67
RVP100

天理市衾田にいた妻が亡くなったときに詠んだ柿本人麻呂の歌。210番の長歌に対する反歌のひとつ。「去年見た秋の月は今日も照っているが、一緒に見た妻は既に亡くなって、いよいよ年が過ぎていく」という意味。

柿本人麻呂は二度妻を失っています。一人は軽の隠し妻。"転飛ぶや 軽の道は・・・"の207番歌は、悲しみ慟哭する人麻呂の真骨頂であり、最高傑作とされます。対してもう一人は、天理市衾田の妻。"うつせみと 思いしときは・・・"の210番歌は、亡くなってから少し時間が経っているらしく、亡き妻を懐かしむ気持ちが切々と詠われています。
この歌はその210番歌の反歌であり、人麻呂の悲しみが素直に詠われた秀作です。この歌を表現するためには、神韻とした月夜を撮らなければならないはずです。
上記の写真は、大神神社の観月祭で撮ったもの。祭事が終わって参道に向けて歩いていたら、神杉の間からポッカリ満月が見えました。余りに景色が素晴らしかったので、慌ててカメラをセットして、小一時間ほど撮影しました。人麻呂もこんな月を見たのでしょうか。
(記: 2008年10月12日)

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万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁アップ: 2008/10/12 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

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