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霰(あられ)打つ 安良礼松原(あられまつばら) 住吉の 弟日娘女(おとひをとめ)と 見れど飽かぬかも |
長皇子 |
霰松原 |
写真: あられ松原公園
Jan. 3 2008
Auto_Focus, Lens28-70mm, Format35mm
RVP100 |
慶雲3年(706年)に、文武天皇の難波宮行幸に長皇子が同行した折に、住吉で遊んだ時の歌。「霰が吹き付けるように風が吹く霰松原を、住吉の弟日娘(おとひをとめ)と一緒に見ていたら、いつまでも見飽きないなあ」という意味。なお、住吉の弟日娘は、住吉津に住まう遊行女婦と考えられ、万葉集巻1の69番歌の清江娘子(すみのえのをとめ)と同じとされる。
草枕 旅行く君と 知らませば 岸の埴生に にほはさましを |
清江娘子(01-0069) |
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かつて、住吉神社の鎮座する住吉から堺辺りまで、"霰松原"という松林が続く美しい砂浜がありました。俗説では、霰が吹き付けるように風が吹いたので霰松原と言ったということです。かつての平安時代の貴族は、京都の自邸に回遊式の池泉を作って、その一部に海辺の州浜を模して松を植えましたが、それはこの住吉や須磨の白砂青松を写したものとされています。
写真の道路は旧紀州街道で、かつては浜辺の松林の中を南北に走っていたようですが、江戸時代の初めに大和川の付け替え等で海岸線が後退して、ご覧のように景色が激変してしまいました。歌が詠まれた時代には、絵のように美しい景色だったに違いありません。旅の貴人と港町の遊女が、ここで海を眺めながら一夜限りの儚い愛を語ったことでしょう。 |
(記: 2009年1月25日) |
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