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鴨頭草(つきくさ)の 仮れる命に ある人を いかに知りてか 後も逢はむと言ふ |
作者不詳 |
露草 |
写真: 露草
Oct.3, 2010
Manual_Focus, Micro Lens135mm, Format67
RVP100F |
作者不詳。巻11の寄物陳思(きぶつちんし)から。
"私の命が露草のように儚いものであることを、あなたは知ってか知らずか、この後も会おうとおっしゃるのです。"
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この歌は、露草(つゆくさ)の写真を撮るためにいろいろと調べるうちに見つけた歌で、良い歌と思うので、ホームページに載せることにしました。
この歌は、一夜の逢瀬を重ねた女性がその別れ際に、男性が"又会おうよ"と言ったことを詠ったものと思われますが、"鴨頭草(つきくさ)の 仮れる命に ある人の"の上句の解釈が微妙です。一般には、"人間というものは露草のように命がはかないものだが"と抽象的な解釈がされていますが、私はこれは少し違うと思っています。この"人"というのは、この女性その人をいっているのではないでしょうか。
もし、この儚い命にあるのがこの女性であるならば、男性はそのことを知ってか知らずか、別れ際に"又逢おう"と言ったことになります。女性は不治の病だったということになりますが、そうすると大変泣ける歌ではありませんか?
万葉集の中には、その背景と切り離されてしまってそれのみで存在している歌がたくさんありますが、その中には切り捨てられてしまった背景なしには成立し得なかった歌もあるはずで、解釈が成り立つ範囲において、その背景を復元する試みは大いに行われて然るべきではないでしょうか。少なくとも、この歌などは、一般的に認められている歌の解釈が少し大味で、文学的にはピンボケ状態なので、私の解釈も十分成り立つと思いますが如何でしょうか。
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(記: 2010年12月1日) |
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