08-1444 |
山吹の 咲きたる野辺の つほすみれ この春の雨に 盛りなりけり |
高田女王 |
つぼすみれ |
写真: 高山にて、タチツボスミレ
April. 5 2009
Manual_Focus Micro lens135mm, Format67
RVP100 |
巻8"春の雑歌"の一首で、高田女王(長皇子の孫)が詠った歌。"山吹が咲く野辺のツボスミレは、この春雨の中で盛りになったことだ"という意味。
|
調べてみると、菫はたくさんの種類があるようです。代表的な菫色(Violet)の花を咲かせるホンスミレに始まり、姿が小さいノジスミレ、日陰に咲き葉がハート形のツボスミレ・タチツボスミレ、切れ込んだ葉を持ち白い花を咲かせるエイザンスミレ、如意のような形の葉を持つニョイスミレ・・・。世界で400種類、日本に60種類程度が分布していて、非常に変異種が多い野草だそうです。スミレは、食用や漢方薬にもなるので、有名な山部赤人の"春の野に すみれ摘みにと 来し我れぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける"の歌(巻8-1424)にあるように、万葉人は盛んにスミレの花摘みを行ったようです。ただし、どの歌も単に"スミレ"としているだけで、どの種類のスミレかはよく分からないようです。
この歌は、他の歌と違って、"つぼすみれ"とスミレの花の種類をはっきり特定して詠っており、これは現在の"ツボスミレ"あるいは"タチツボスミレ"のことを指しています。ハート形の葉を持ち、花は所謂"すみれ色(Violet)"と異なってやや淡いプルーをしており、半日陰にひっそり咲いています。 |
(記: 2009年5月1日) |
|
|