万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景


07-1351 月草(つきくさ)に 衣は摺らむ 朝露に 濡れての後は うつろひぬとも 作者不詳 露草




写真: 露草
Oct.3, 2010
Manual_Focus, Micro Lens135mm, Format67
RVP100F

作者不詳。巻7の譬喩謌(ひゆか)から。"物に寄す"という題詞がある。
"月草色に衣を染めることにしよう。月草(露草)のように、朝霧に濡れた後に、恋は色褪せてしまうかもしれないけれども。"

月草(つゆくさ)は、現在の露草のことで、その花が古くには染色に使用されました(つき草染め)。簡単に色に染まるものの、色が褪せやすいという欠点があったようです。小学校の頃、これと似た色で、朝顔の草木染というのをやりましたが、あんな感じでしょうか。この花は夏から秋に田の畦道など日当たりの良いところに咲きますが、早朝に咲いて昼頃には萎んでしまうので、万葉人には"何時消えてしまうかもしれない儚いもの"と意識されていたようで、この歌では"移ろい易いうたかたの恋"の例えとして使われています。
雑草なので、どこにでも咲いていると思っていましたが、さて写真に撮ろうとすると、これが大変。まず、朝が早くないと花びらが綺麗に開いていないし、花びらの発色も良くないようです。それから、どこにでも咲いていると思いましたが、案外場所を選ぶようで、日当たりの良い田圃の畦道をずいぶん探して歩きました。そして、何より苦労したことは、花の背丈が極めて低いこと。高さは10センチほどしかないわけで、水平の位置から撮ろうとすると、ほとんど腹這い状態ということになってしまいました。野草の花写真というのも、案外難しいものです。
涼しい青色の可憐な花びらが大変印象的でした。
(記: 2010年12月1日)

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万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁アップ: 2010/12/1 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

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