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名草山 言にしありけり 我が恋ふる 千重の一重も 慰めなくに |
作者不詳 |
名草山 |
写真: 片男波公園から名草山を望む
Jul. 17, 2010
Manual_Focus Lens105mm, Format67
RVP100F |
作者不詳。"名草山は"なぐさやま"という名前がついているけれど、名前だけのことで、私の恋の気持ちの1000分の一も慰めてくれない。"
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名草山は、むしろ名刹"紀三井寺"のある山といったほうが通りがよいように思います。紀三井寺は西国三十三ケ所の第二番札所で、奈良朝の宝亀元年(770年)に、唐僧為光上人によって開基されたと伝えられています。ただし、この万葉歌との関係からいうと、紀三井寺の開基のほうが後ということになります。
当時行宮や離宮があったとされる玉津島神社あたりから海辺を臨むと、対岸に名草山の秀麗な姿を見ることが出来ます。この山は、229メートルの小山にしか過ぎませんが、甘南備山に相応しい逆三角形の形をしており、当時は神の寄り付く神聖な山として地元民に崇められていたと思われます。
名草山(なぐさやま)という山の名前を"慰める"という言葉に掛けただけのシンプルな相聞歌ですが、"千重の一重も"という言葉が利いています。地元の歌垣なとで唱和された俗謡であった可能性があります。 |
(記: 2010年8月25日) |
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