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足代過ぎて 糸鹿の山の 桜花 散らずもあらなむ 帰り来るまで |
作者不詳 |
糸鹿峠 |
写真: 糸我王子跡から糸鹿峠を望む
Jul. 18, 2010
Manual_Focus Lens50mm, Format67
RVP100F |
作者不詳。"足代を今通り過ぎていくけれど、糸鹿(いとが)の山の山桜よ、散らないでいて欲しい。私が帰ってくるまで。"
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足代(あて)は、和歌山県有田郡を古くは"安諦(あて)郡"といったことから、有田川流域を指したものと考えられます。糸鹿峠は、有田市と湯浅町を分ける分水嶺上にあり、後の熊野古道もここを通ってるので、交通の要所であったことは間違いありません。有田から有田川沿いに5キロほど上流に上って糸鹿村に至り、中将姫伝説の残る得生寺から曲がって1キロほど坂道を登ると、ご覧の地点(熊野古道の糸我王子跡前)にたどり着きます。ここから道なりに500メートルほど行くと糸鹿峠で、写真のややの右側の山の鞍部がそこにあたります。
作者は、糸鹿峠に至ったときに"ああ、足代(有田)は過ぎて、ここからは新たに湯浅の地に踏み入ったのだなあ"と心を新たにしたに違いありません。糸鹿峠には山桜が咲いており、その山桜に旅の無事を祈ったのでしょう。
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(記: 2010年9月1日) |
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