万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景


06-0970 指進(さすすみ)の 栗栖(くるす)の小野の 萩の花 散らむ時にし 行きて手向けむ 大伴旅人




写真: 野萩の花, 小原の里
Sep. 23 2008
Manual_Focus, Micro Lens135mm, Format67
RVP100

天平3年、大伴旅人が亡くなった年に詠んだ歌。旅人最後の歌とされる。晩年にあって、大宰府で最愛の妻を亡くして奈良に帰京した後であり、青年時代をすごした明日香を偲んでいる。栗栖は詳細不明で、明日香のどこかの地名と思われる。

大伴旅人は、30才頃まで明日香で暮らし、30才から40才半ばまで藤原京、40才半ばから平城京で暮らしました。最晩年には、大宰府の帥として西方にあり、その地で最愛の妻を亡くしました。その後奈良に帰郷して、妻を偲ぶ歌ばかりを歌って、終には青春時代を過ごした明日香を偲んで、このような歌を作りました。おそらく萩の花は、亡き妻と出会った頃の思い出の花なのでしょう。旅人は臨終間際に、病床を訪ねた余明軍に、"萩の花は咲いているか"と尋ねたと伝えられています。
かくのみに ありけるものを 萩の花 咲きてありやと 問いし君はも (03-0495 余明軍)
(記: 2008年10月5日)

トップ頁 プロフィール 万葉の風景 万葉の花 作家の顔 雑歌 相聞歌 挽歌 雑記帳 リンク

万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁アップ: 2008/10/5 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

inserted by FC2 system