万葉の故地を写真で巡る 万葉の風景


03-0453 我妹子が 植ゑし梅の木 見るごとに 心咽せつつ 涙し流る 大伴旅人




写真: 菅原神社の白梅
Mar. 1, 2009
Manual_Focus Lens150mm, Format67
RVP100

大伴旅人が、大宰府師の任を解かれて、平城京佐保の自邸に帰って詠んだ歌。「亡くなった妻が植えた梅の木を見るたびに、心がいっぱいになって涙が流れることだ。」という意味。

人間は、老いると涙もろくなるものでしょうか。大伴旅人は、大宰府に左遷されて彼の地で最愛の妻を亡くしてから、亡き妻を偲ぶ歌を盛んに作るようになりました。特に、大宰府帥の役職を解かれて平城京に帰任する途上から激しくなります。日々感ずる体の衰えが、惜別の情をより強くしたのでしょう。
大伴旅人の平城京の邸宅は佐保にありました。前歌(452番歌)では、旅人と妻の大伴郎女は庭(山斎)を偲んで歌を詠っていますが、郎女はその庭に好んで梅の木を植えていたに違いありません。
写真の白梅は、ご近所の菅原神社のもの。菅原道真誕生の由縁のある古社ですが、考えてみれば、大宰府に左遷されたことと梅の花を好んだことは、奇しくも大伴旅人と菅原道真は良く似ていますね。
(記: 2009年3月14日)

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万葉集の風景 "View of Manyou" HP開設: 2008/5/1 頁アップ: 2009/3/14 Copyright(C) 2008 Kosharaku All Rights Reserved

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