02-0147 |
天の原 振り放け見れば 大君の 御寿は長く 天足らしたり |
倭姫王 |
近江宮 |
02-0148 |
青旗の 木幡の上を 通ふとは 目には見れども 直に逢はぬかも |
倭姫王 |
近江宮 |
02-0149 |
人はよし 思ひやむとも 玉葛 影に見えつつ 忘らえぬかも |
倭姫王 |
近江宮 |
02-0150 |
うつせみし 神に堪へねば 離れ居て 朝嘆く君 放り居て 我が恋ふる君 玉ならば 手に巻き持ちて 衣ならば 脱く時もなく 我が恋ふる 君ぞ昨夜の夜 夢に見えつる
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婦人 |
近江宮 |
02-0151 |
かからむと かねて知りせば 大御船 泊てし泊りに 標結はましを |
額田王 |
山科 |
02-0152 |
やすみしし我ご大君の大御船待ちか恋ふらむ志賀の唐崎 |
舎人吉年 |
近江京
(唐崎) |
02-0153 |
鯨魚取り 近江の海を 沖放けて 漕ぎ来る船 辺付きて 漕ぎ来る船 沖つ櫂 いたくな撥ねそ 辺つ櫂 いたくな撥ねそ 若草の 夫の 思ふ鳥立つ |
倭姫王 |
山科 |
02-0154 |
楽浪の 山守は誰がためか 山に標結ふ 君もあらなくに |
石川夫人 |
山科 |
02-0155 |
やすみしし 我ご大君の 畏きや 御陵仕ふる 山科の 鏡の山に 夜はも 夜のことごと 昼はも 日のことごと 哭のみを 泣きつつありてや ももしきの 大宮人は 行き別れなむ
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額田王 |
山科 |